きりたんぽ (キリタンポ/切蒲英)

きりたんぽは、硬めに炊いたご飯をすりつぶしてから杉の串に巻き付け、手の平やまな板の上で転がして棒状に整え、炭火で香ばしく焼き上げる郷土料理です。シンプルながらも手間をかけて作る伝統的な料理で、秋の味覚を代表する食文化のひとつとなっています。

きりたんぽ鍋には比内地鶏、ごぼう、せり、舞茸などの具材が使われ、しょうゆベースの出汁で煮込むのが一般的です。具材のうま味がきりたんぽにしみ込み、もちもちとした食感と香ばしい風味を楽しめます。家庭でも材料をそろえれば簡単に再現でき、鍋料理の定番として親しまれています。

きりたんぽの産地として知られる大館市では、新米の収穫期と比内地鶏が出回る10月に「本場大館きりたんぽまつり」が開催されます。イベントでは、地域の飲食店や家庭でもきりたんぽ鍋が振る舞われ、多くの人が旬の味を楽しみます。調理法にはフライパンを使った家庭向けの作り方もあり、甘辛い味噌をつけて焼く「みそたんぽ」も人気の食べ方です。炭火焼きで香ばしく仕上げる本格派から、フライパンで手軽に作る家庭風まで、幅広い楽しみ方があります。

現在はスーパーや通販で真空パックのきりたんぽが販売されており、下ごしらえ不要で調理が簡単です。保存性が高く、忙しい日でも短時間で本格的な味わいを楽しめます。手作りしたい場合は、温かいご飯を麺棒で軽くつぶし、粒が少し残る程度にまとめてから手に塩水をつけて割りばしに巻き付け、棒状に成形します。フライパンで焼いて香ばしく仕上げたら冷まして串を抜き、鍋や味噌だれ焼きなど、好みに合わせて使います。炭火焼きの本格派から家庭での簡単調理まで、作り方や食べ方を自由にアレンジできるのがきりたんぽの魅力です。