料理酒 (料理用酒/和酒)

料理酒は、日本酒をベースに食塩や有機酸（酢酸など）を加えて加工された調味料で、主に加熱調理を目的として使用されます。アルコール度数は製品によって異なりますが、一般的には10～15％程度であり、日本食品標準成分表では、料理酒のアルコール含有量は13.6％と記載されています。

料理酒にはいくつかの役割があります。第一に、アルコールの作用により肉や魚の生臭さを軽減する脱臭効果があります。第二に、アルコールがたんぱく質を分解しやすくするため、食材をやわらかく仕上げる効果も期待できます。さらに、加熱することでアルコール分は蒸発し、酒に含まれるアミノ酸や有機酸が料理にうま味やコクを加えます。これらの効果により、煮物、炊き込みご飯、照り焼き、和風スープなど、さまざまな和食を中心とした料理で活用されています。

市販の料理酒の多くには、食塩が1～3％程度添加されています。これは、酒税法の規定により、塩分を加えることで飲用を目的としない「料理用調味料」として扱われ、酒税が課税されないようにするための措置です。なお、この塩分によって料理酒自体に独特のしょっぱさがあるため、調理時に使用する塩分量には注意が必要です。

一方、料理により自然な風味を求める場合や、塩分を控えたい場合には、食塩無添加の清酒（飲用の日本酒）を使う選択肢もあります。特に高品質な出汁や煮物などでは、清酒を使うことでより繊細な味わいを引き出すことができます。料理の目的や好みに応じて、料理酒と清酒を使い分けるとよいでしょう。

また、保存性についても触れておくと、塩分を含む料理酒は微生物の繁殖を抑えやすく、開封後も比較的長期間保存できます。一方で清酒は塩分を含まないため、冷蔵保存し、できるだけ早めに使い切ることが推奨されます。