梅干し (うめぼし) ＜可食部のみ＞

梅干しは、梅の実が黄色く熟し始めた完熟手前の状態で収穫されるものを使用し、塩に漬けてから天日干しすることで作られます。伝統的な製法では、塩漬けした梅に赤じそを加えてさらに漬け込み、酸味と塩味が際立った「しそ漬け梅干し」に仕上げることが多く、干さずに漬けたままにする「漬け梅」と呼ばれるものもあります。漬ける際の塩分濃度は通常15～20％ほどで、保存性が高くなる一方、しょっぱさも強くなります。

梅干しは1粒(可食部)あたりおおよそ3kcalと非常に低カロリーで、ご飯のお供として昔から親しまれてきました。梅干しおにぎりの具材や、梅粥・白米のおかずとして定番であるほか、梅肉を使った和え物「梅びしお」や、刻んだ梅を加える雑炊、炒め物の風味づけ、ドレッシングに使うなど、和洋を問わず多彩な料理に活用できます。

梅干しの酸味はクエン酸によるもので、さっぱりとした味わいが特徴です。そのため、油を使った料理のアクセントとしてもよく合い、パスタソースや冷製サラダの具材としても人気があります。また、炊き込みご飯に入れると、さわやかな香りと酸味が全体の味を引き締めてくれます。

なお、近年では塩分を控えめにし、はちみつや砂糖を加えてまろやかな味わいに仕上げた「調味梅干し」も市販されており、従来のしょっぱい梅干しとは異なる風味で人気を集めています。これらは塩分濃度が約5～8％と低く、食べやすさを重視した製品です。

使用される梅の品種には、果肉が柔らかく大粒で香りの良い「南高梅（なんこううめ）」や、やや小ぶりで繊維質が少なく漬けやすい「白加賀（しらかが）梅」などがあり、家庭で自家製の梅干しを作る際にもよく用いられています。特に南高梅は紀州地方で多く栽培されており、高級品としても知られています。