乾パン (カンパン)

小麦粉、砂糖、ショートニング、ごま、塩、イーストなどを原料として作られる乾パンは、しっかり焼き上げて水分を飛ばした保存性の高いパンです。強い歯ごたえが特徴で、缶入りの乾パンは堅パン（かたぱん）と並んで非常食や保存食として広く利用されています。日本では明治時代に軍用の保存食として普及し、現在も災害時の備蓄食品として定着しています。

乾パンは食パンやフランスパンとは比較にならないほど硬い食感を持っています。そのまま食べられるのはもちろん、油で揚げて香ばしく仕上げたり、砕いてクルトンやケーキの台に利用したり、味噌汁やスープに加えて食感を楽しむなど、幅広いアレンジが可能です。

乾パンは非常時に備えて長期保存できることが大きな利点です。製造工程で水分を徹底的に取り除くため、常温で数年単位の保存が可能です。家庭の防災備蓄品としてだけでなく、自治体や学校、企業などの防災倉庫にも備えられています。缶入りの乾パンには金平糖や小袋入りの菓子が同梱される場合もあり、非常時にエネルギーを補給しやすい工夫がされています。

アレンジ方法としては、チョコレートやキャラメルでコーティングすると甘さが加わり、おやつ感覚で楽しめます。さらに、砕いてグラノーラやヨーグルトに混ぜると香ばしさが増し、普段の食事にも取り入れやすくなります。乾パンは小麦粉を主原料とするため、炭水化物を中心に、少量ながらたんぱく質や脂質も含まれています。種類によってはごま入りや全粒粉タイプもあり、風味や栄養面に違いがあります。

堅パンと乾パンの違いについては、堅パンは小麦粉を主原料とし、砂糖やショートニングを加えない場合が多く、乾パンよりさらに硬いのが特徴です。堅パンは福岡県北九州市など一部地域の郷土菓子としても知られています。一方、乾パンは砂糖や油脂を加えることで風味や食感に幅があり、非常食としての役割だけでなく、家庭での活用法も多彩です。