もち米 (モチ米) ＜炊飯前＞

炊飯前の生のもち米は、一般的なうるち米と比べて粒が小さく、白く濁ったような外観をしています。うるち米が透明感のある粒であるのに対し、もち米はアミロースをほとんど含まず、アミロペクチンが主体であるため、炊くと強い粘りを持つのが特徴です。

かつては、もち米を炊く際にせいろなどの蒸し器を使って蒸し上げるのが一般的でした。鍋で直接炊くと焦げやすく、炊きむらが出やすいためです。現在では、炊飯器に「もち米モード」や「おこわモード」といった専用機能を備えた製品が多く、家庭でも安定した炊き上がりにしやすくなっています。

もち米は、餅の原料として広く知られていますが、それ以外にも多くの用途があります。代表的な料理には、赤飯やおこわ、ちまき、団子などがあります。これらの料理は、もち米特有の粘りと弾力を生かしており、祝い事や行事食としても親しまれています。

また、もち米は加工品の原料としても重要な役割を果たしています。粉砕してもち粉や白玉粉に加工し、和菓子や団子の材料として使用されます。さらに、日本酒やみりん、酢の製造にも利用されており、発酵食品の原料としても欠かせません。

もち米には品種がいくつかあり、代表的なものに「ヒメノモチ」「マンゲツモチ」「ミヤコガネモチ」などがあります。地域によって栽培される品種が異なり、それぞれに粘りや風味の違いがあるため、用途や嗜好に合わせて使い分けられています。

カロリーSlismの栄養素グラフからもち米の栄養を分析すると、もち米はビタミン類ではナイアシンが最も充足率が高く、これにパントテン酸、ビタミンB1などが比較的高めの充足率で含まれています。ミネラル類ではモリブデンが最も充足率が高く、特に100％を超えて多量に含まれており、これにマンガン、亜鉛などが比較的高めの充足率で含まれています。その他、食物繊維は目標量に対して少なめです。もち米は、不足しやすい栄養素であるビタミンC、ビタミンA、ビタミンDなどが不足しがちです。これらの不足しやすい栄養素を補うためには、野菜や果物、乳製品などの副菜を組み合わせるのが有効です。