藤豆 (ふじまめ/つるまめ)

藤豆（フジマメ）は、マメ科フジマメ属の一年草または多年草で、日本では「千石豆（せんごくまめ）」などの名前でも知られる野菜です。原産はアフリカとされ、熱帯から亜熱帯地域にかけて広く栽培されており、温暖な気候で生育が良好です。

花の色により「赤花フジマメ」と「白花フジマメ」に分けられ、観賞用としても利用されます。赤紫色の美しい花を咲かせる品種は庭先でのグリーンカーテンとしても人気があり、食用と観賞用の両方で楽しめます。

栄養面では、葉酸やビタミンK、カリウム、食物繊維などを含んでいますが、一般的なさや豆類と比べるとたんぱく質やビタミン類はやや少なめです。それでも、食卓に彩りや食感を加える野菜として重宝されています。

食べる際には、若くて柔らかいさやを早めに収穫し、丸ごと天ぷら、和え物、炒め物、煮物、汁物などに調理するのが一般的です。早採りすることで、えぐみが少なく、柔らかい食感と甘みを楽しむことができます。

一方で、完熟したフジマメの種子には毒性成分（レクチンなど）が含まれるため、生のまま食べるのは避け、十分に加熱する必要があります。また、完熟豆は硬くなり、調理にも時間がかかるため、若いうちに収穫して調理するのが望ましいとされています。

保存については、収穫後すぐに調理するのが最も品質が良いですが、冷蔵庫の野菜室で2～3日程度の保存は可能です。時間の経過とともに風味や食感が落ちやすいため、早めの消費が推奨されます。

フジマメは、地域によってはなじみの薄い野菜かもしれませんが、旬の時期に出回る新鮮なものを使えば、さまざまな料理に活用できる季節野菜の一つです。