鮎 (アユ/あゆ)

あゆ（鮎）は日本を代表する淡水魚で、川と海を回遊する特徴を持っています。
秋に川で生まれた稚あゆは海へ流されて冬を越し、翌年の春になると育った稚あゆが生まれた川へと遡上します。この時期のあゆは「登り鮎」と呼ばれます。若いあゆは川底の石についた水苔を食べて成長し、秋になると再び川で産卵します。産卵前の個体は卵を抱えており、「子持ち鮎」と呼ばれます。鮭と同じように川と海を往復する両側回遊魚である一方、海に下らず湖で一生を過ごすあゆもおり、琵琶湖に生息する小型のあゆは「コアユ」と呼ばれています。

主な産地には琵琶湖をはじめ、岐阜県や広島県などがあり、とりわけ岐阜県の観光やなでは鮎料理が名物として提供されています。旬は地域によって差がありますが、一般的には夏にあたる「土用鮎」と呼ばれる時期が最も美味しいとされます。旬のあゆは香りが強く、姿も美しいため、古くから夏の味覚として親しまれてきました。

食べ方は多彩で、定番の塩焼きをはじめ、甘露煮や田楽、天ぷらなどが広く知られています。特に塩焼きはあゆの姿を丸ごと楽しめる代表的な料理法で、川魚ならではの風味を堪能できます。また、若いコアユは骨が柔らかく、そのまま天ぷらや唐揚げにすると軽い食感が楽しめます。一方、成魚は骨が硬くなるため、塩焼きや煮付けが適しています。

天然のあゆには禁漁期間が定められており、漁獲や食用の時期が限られています。釣りを楽しむ際には遊漁券が必要となる場合が多く、地域ごとのルールに従うことが大切です。

保存方法としては冷凍や塩漬けが一般的です。冷凍する場合は下処理をしてから保存し、解凍後に塩を振って水分を抜いてから調理すると風味が際立ちます。塩漬けは鮎を塩で漬け込み、干して乾燥させることで長期保存が可能となり、保存食や加工品としても古くから利用されています。