粉からし (からし粉)

粉からしは、アブラナ科のからし菜の種子を原料とした粉末タイプの辛子で、日本の食文化に古くから取り入れられている調味料です。主におでんや冷やし中華、漬物、納豆などに添えられ、料理に独特の辛味と風味を加えます。

粉からしは、種子から油分を除去して粉末化したもので、水を加えると種子に含まれる酵素が働き、辛味成分が生成されます。この作用により、粉末の状態では辛さが弱く、水に溶いて初めてツーンとした刺激が現れる特徴があります。粉カラシにはセレン・モリブデン・マグネシウム・ビオチンなどの栄養素が含まれており、香辛料としての役割に加え食品素材としても利用価値があります。

調理の際は、粉を熱湯で少しずつ溶いて練り、5分程度置いてから使うと辛さと香りがより引き立ちます。すぐに使用すると刺激が弱いことから、時間を置くことが風味を最大限に引き出すコツです。また、酢やしょうゆと合わせてソースやドレッシングに応用するなど、幅広い使い方が可能です。

粉末の辛子に調味料やスパイスを加えて加工したものが「洋がらし（マスタード）」です。洋がらしはホットドッグやサンドイッチなど洋風料理で広く利用され、粉からしは和食や中華料理と相性が良いとされます。さらに、「粉」「練り」「練りマスタード」「粒入りマスタード」といった形態で市販されており、「粉」や「練り」は和風・洋風と区別されて販売されていますが、分析値に大きな違いは見られないと報告されています。これらは和がらし及び洋がらしを含め、米国成分表からも推計が行われています。