あおさ (アオサ/石蓴) ＜乾燥＞

あおさは、日本で古くから親しまれてきた海藻で、青のりと似た用途を持ちます。粉末に加工された「あおさ粉」は、味噌汁やお吸い物、天ぷら、麺類やパスタなどに加えられ、独特の磯の香りと色合いを料理に添えることができます。日常の料理に使いやすく、家庭でも定番の食材のひとつです。

あおさという呼び名は広く使われていますが、実際にはアオサ科アオサ属の海藻と、ヒトエグサ属の海藻があり、学術的には分類が異なります。アオサはアオサ目、ヒトエグサはヒビミドロ目に属し、本来は別種ですが、どちらも「あおさ」と呼ばれるため混同されやすいです。食感や風味には違いがあり、料理によって好まれる種類が異なる場合もあります。

主な産地は三重県・熊本県・長崎県・沖縄県で、とくに三重県は代表的な産地として知られています。産地では佃煮や味噌汁の具材などに加工されることが多く、地域の特産品としても広く流通しています。家庭料理から土産品まで幅広く活用されているのが特徴です。

「あおさ」という名称はアオサ科アオサ属の総称で、食用にはアナアオサがよく利用されます。収穫後は水洗いを行い、天日で干した「素干し」が一般的で、乾燥品は保存性が高いため年間を通じて使いやすい形となります。成分値は市販品の分析値や食品成分表に基づき整理されています。

あおさに含まれる栄養素の中で特徴的とされるのは、マグネシウム、ビタミンB12、ヨウ素です。これらは海藻特有の成分として知られ、他の食品に比べても比較的豊富に含まれています。そのため、少量を加えるだけでも風味とともに栄養価をプラスできる点が注目されています。和食だけでなく、洋食や中華料理にも取り入れられるようになり、幅広いレシピで利用される万能な食材となっています。