乾パン (カンパン)

乾パンは、小麦粉、砂糖、ショートニング、ごま、塩、イーストなどを原料として作る、しっかり焼き上げて水分を飛ばした保存性の高いパンです。強い歯ごたえが特徴で、缶入りの乾パンは非常食や保存食として広く利用されています。明治時代に軍用の保存食として普及し、現在では災害時の備蓄食品として家庭や公共施設で定着しています。

乾パンは、一般的なフランスパンや食パンと比べて非常に硬く、水分量が少ないため長期保存に適しています。製造工程では生地を焼成した後にしっかりと乾燥させ、常温でも数年間保存できるようにしています。このため、家庭の防災備蓄品としてだけでなく、学校や企業、自治体の防災倉庫にも多く備えられています。保存性と携帯性に優れているため、登山やキャンプなどのアウトドアシーンでも活躍します。

乾パンは小麦粉を主原料とし、炭水化物を中心に少量のたんぱく質や脂質も含みます。製品によってはごま入りや全粒粉タイプもあり、風味や栄養成分に違いがあります。缶入りの乾パンには、金平糖や小袋入りの菓子を同梱する製品もあり、非常時のエネルギー補給に役立ちます。保存期間は製造から約3年程度のものが多く、缶のまま保管できる点が便利です。乾パンはそのままでも食べられますが、噛むほどに小麦の香ばしさが広がり、満足感のある食べ応えがあります。

乾パンと堅パン（かたぱん）の違いは、製法と材料にあります。堅パンは小麦粉を主原料とし、砂糖やショートニングを加えないため、乾パンよりもさらに硬く仕上がります。福岡県北九州市などの地域では、堅パンが郷土菓子として親しまれています。アレンジ方法も豊富で、油で軽く揚げると香ばしさが増し、チョコレートやキャラメルでコーティングすればおやつ感覚で楽しめます。また、砕いてクルトンやケーキの台として使ったり、味噌汁やスープに加えて食感のアクセントにしたりするのもおすすめです。グラノーラやヨーグルトに混ぜると香ばしい風味が加わり、日常の食事にも取り入れやすくなります。