すだち果皮 (酢橘果皮) ＜果皮＞

酢橘（すだち）は、ユズやカボスと並ぶ日本の代表的な香酸柑橘で、徳島県を主な産地とし、全国の約9割が同県で生産されています。果実は小ぶりで、爽やかな酸味と香りが特徴です。その果皮は、香り成分を豊富に含み、さまざまな料理の風味付けに利用されます。

すだちは生食にはあまり適していませんが、果汁や果皮は主に薬味や香りづけとして、焼き魚、鍋料理、うどん、酢の物、和風ドレッシングなどに幅広く使われています。なかでも秋の味覚であるさんまの塩焼きに添える用途が特によく知られています。

露地栽培のすだちは8月から10月ごろに旬を迎えますが、ハウス栽培も行われており、通年での流通も見られます。果皮は緑色が濃く、熟すと黄色くなりますが、香りや風味の点から未熟な緑色の果皮が好まれることが多いです。

栄養面では、すだちの果皮には果汁部分よりも多くのビタミンCやビタミンEが含まれています。フラボノイドの一種「ナリルチン」や、「リモネン」などの香り成分も豊富です。これらの成分は、皮をすりおろしたり刻んだりして利用することで、より効率的に摂取できます。

すだちの果皮は、ジャムやゼリーなどのスイーツに加えられることもあり、苦味と香りがアクセントになります。また、細かく刻んで冷凍しておけば、少量ずつドレッシングやマリネ、スムージー、炭酸水などのドリンクにも活用でき、保存性も高まります。

なお、すだちのカロリーは非常に低く、果皮を少量使う程度であれば、料理全体の栄養バランスに大きな影響を与えることはほとんどありません。ただし、果皮を多く摂取する場合は、皮に残留農薬が付着している可能性があるため、使用前によく洗うことが推奨されます。

すだちの果皮は、日本料理だけでなく、洋風や中華料理でも風味付けや彩りとして役立つ食材であり、料理の幅を広げてくれる香味素材の一つです。