日向夏 (ヒュウガナツ)

日向夏は「ニューサマーオレンジ」や「小夏みかん」とも呼ばれる柑橘で、宮崎県が主な産地です。和歌山県でも生産されており、品質の良いものが全国へ出荷されています。旬はハウス栽培が12月から3月、露地栽培が2月から5月です。黄色い外皮の内側にある白いワタ状の部分も一緒に食べる特徴があり、夏みかんのように手でむくのではなく、りんごのように包丁でむいて切り分けます。果肉は酸味と甘みのバランスが良く、生食だけでなくゼリー、ジュース、マーマレードなど幅広く利用されています。果肉には糖質やビタミン類などの栄養が含まれており、爽やかな香りも人気の理由です。

近年は栽培技術の改良により生産量が増え、店頭で見かける機会も多くなっています。温暖な気候に適しているため宮崎県では古くから育てられており、地域の特産品として扱われています。和歌山県産も市場で評価されており、ブランド化が進められています。輸送方法や保管技術が整備され、鮮度を保った状態で流通できるようになっています。ふるさと納税の返礼品として選ばれることもあります。

独特の風味を活かしてドレッシングやソースに使われることもあります。魚介料理との相性が良く、香りや酸味を取り入れることで料理全体をさっぱりと仕上げられます。果皮は細かく刻んで薬味や製菓材料に利用されることもあり、スイーツやパンの香り付けにも使われます。皮を砂糖漬けにした加工品も作られています。

日向夏は他の柑橘類に比べて栽培に手間がかかる品種ですが、その分果肉は柔らかくみずみずしい食感があります。果汁が多く、皮と果肉の間にある白い部分を残したまま食べる習慣が定着しています。収穫後は貯蔵や輸送中の傷みを防ぐ工夫がされており、一定期間品質を保てるよう改良が進められています。出荷時は等級やサイズによる選別が行われ、外観や食味を重視した基準で流通しています。