卵焼き (たまごやき)

卵焼きは、溶き卵を調味して油を引いたフライパンで焼き上げる卵料理です。基本は甘みを加えた「卵焼き」と、和風だしを使った「だし巻き玉子」に大別され、地域や家庭ごとに味付けや仕上げ方が異なります。ご飯との相性が良く、朝食や弁当のおかずとして定番であり、幅広い世代に親しまれています。さらにパンに挟んでサンドイッチにしたり、寿司の具材として利用されたりするなど、用途の幅が広い料理です。

作り方の基本は、卵をボウルに割り入れ、砂糖や塩などを加えてよく混ぜ、熱したフライパンに少量の油を引いて流し込みます。表面が半熟になったら端から巻き始め、何度か卵液を重ねて焼きながら巻き進めます。最後に全体を整えて余熱で火を通せば完成です。火加減や巻くタイミングによって食感が変わり、ふんわりとした口当たりや、しっかりした食感など、好みに合わせて仕上げられます。

卵焼きには多様なバリエーションがあります。甘めに仕上げる江戸風の卵焼き、だしを効かせて柔らかく仕上げる関西風のだし巻き玉子、厚みを出して存在感を持たせた厚焼きたまごなど、地域によって特徴が分かれます。また、具材を加えるアレンジも豊富で、ネギや大葉を混ぜたり、ひき肉や野菜を入れたりして彩りや風味を楽しむこともできます。

家庭料理としてはもちろん、寿司屋や料亭などの専門店でも提供され、それぞれの店が独自の配合や焼き方で個性を出しています。お祭りや正月のおせち料理にも用いられることがあり、日本の食文化に深く根付いた料理といえます。日常的な一品でありながら、作り手の工夫次第で幅広い表情を見せることが、卵焼きの魅力です。