ほうじ茶 (ほうじちゃ)

煎茶や番茶を強火で焙煎したお茶を「ほうじ茶」と言います。
高温で加熱することで香ばしい香りが引き立ち、渋みの原因となるタンニンが和らぎ、まろやかな味わいになります。
ほうじ茶は熱湯でさっと淹れても、水出しでゆっくり抽出しても美味しく飲むことができます。
ノンカロリーで飲みやすいことから、カフェインを控えたい人にも人気があり、牛乳を加えた「ほうじ茶ラテ（ラッテ）」やプリンなどのデザートにも活用されています。お茶由来の自然な香ばしさとやさしい甘みが特徴です。

ほうじ茶の起源は江戸時代にさかのぼり、茶葉を最後まで無駄なく使う工夫として生まれたとされています。
保存されていた茶葉や品質が落ちた茶葉を再利用し、香ばしく焙煎して飲みやすくしたのが始まりです。こうした背景から、ほうじ茶は日本人の暮らしに密着した日常茶として広まり、現在でも家庭や飲食店で広く親しまれています。

ほうじ茶はその独特の香りを活かして料理にも使われます。
例えば、ほうじ茶を使った炊き込みご飯は香ばしい風味が加わり、和食との相性がとても良いです。また、魚の照り焼きのタレにほうじ茶を加えると、ほのかな香りが味に深みを与えます。ほうじ茶を粉末状にしてスイーツやパンに混ぜるアレンジも人気があります。

さらに、ほうじ茶は環境への配慮という面でも注目されています。
焙煎によって茶葉を再利用できるため、茶の製造過程で生じる廃棄物を減らす取り組みにもつながっています。抽出後の茶殻を乾燥させ、消臭剤やポプリとして再活用する方法もあり、資源を無駄にしないサステナブルな素材として注目されています。