油揚げ (薄揚げ)

十分に水気を切った木綿豆腐を高温の油で揚げて作る油揚げは、揚げ油を多く吸収するため脂質が多く、比較的カロリーの高い食品です。

同じく豆腐を使った揚げ物である生揚げ（厚揚げ）は内部まで揚げられていないため、水分が多く、油揚げよりもグラムあたりのカロリーはやや低めです。油揚げはその軽さから重量当たりの油分が多くなりやすいのが特徴です。

油揚げは味噌汁、蕎麦、うどんなどの汁物の具材として広く親しまれています。ほかにも、トースターやフライパンで軽く焼いて醤油とネギをかける食べ方や、納豆を中に入れて焼く「納豆巾着」、卵を包んで煮る「巾着煮」など、バリエーション豊かな料理に使われています。これらはご飯のおかずやお酒のおつまみとしても人気があります。

調理前に熱湯で1～2分ほど茹でて「油抜き」を行うことで、表面の余分な油を落とすことができ、風味がさっぱりすると同時にカロリーや脂質の摂取量も抑えられます。油抜きは、味が染みやすくなるという点でも効果があります。

簡単なアレンジとして、フライパンにごま油をひいて油揚げを両面焼き、こんがりと色がついたらチーズをのせて蓋をします。チーズが溶けたら取り出し、万能ねぎや七味唐辛子をトッピングすると「油揚げのチーズ焼き」として楽しめます。香ばしさとコクのある味わいで、おつまみとしても好評です。

油揚げが現在のような形で広く食べられるようになったのは江戸時代以降とされています。1782年に出版された料理書『豆腐百珍』にも紹介されており、豆腐料理の一つとして定着していたことがうかがえます。
それ以前に豆腐が日本に伝来したのは鎌倉時代とされ、中国の宋から伝わったと考えられています。ただし「古くからある食材」という印象はあっても、実際の普及は比較的新しい時代に入ってからです。