しめじ (ぶなしめじ/ブナシメジ/橅占地)

ぶなしめじは、日本全国の広い地域で栽培・流通しているきのこで、特に北海道から九州にかけて幅広く親しまれています。野生種も存在しますが、現在市販されているぶなしめじのほとんどは人工栽培によるもので、年間を通じて安定供給されているのが特徴です。そのため、スーパーなどでも手に入りやすく、日常的な食材として定着しています。

一般的に「しめじ」という名称で販売されているきのこは、実際にはこの「ぶなしめじ」のことを指しているケースが多くあります。本来の「しめじ」であるホンシメジは流通量が非常に少なく、天然物は特に希少で高価です。

ぶなしめじは、ブナやカエデといった広葉樹の倒木や朽ち木に発生する木材腐朽菌（腐朽性のきのこ）で、自然界では落葉広葉樹林に見られることがあります。現在市場に流通しているぶなしめじの多くは、ヒラタケ科の菌株を用いて工場内のクリーンルームで栽培されたもので、衛生的かつ効率的に生産されています。2002年には、苦味を抑えた白色種のぶなしめじが登場し、食味の良さから人気を集めています。

栄養面では、ぶなしめじは低カロリーでありながら、ビタミンDやナイアシン（ビタミンB3）、モリブデン、カリウムなどを含んでおり、バランスの良い食材として評価されています。

見た目の違いとして、ホンシメジの傘は直径2～3cmほどとやや大きく、ふっくらとした形状をしています。一方、ぶなしめじの傘は直径1cm前後と小ぶりで、密集して生えるのが特徴です。このため、料理に使う際の食感や見た目にも違いが生まれます。

ホンシメジは栽培が難しいため市場ではほとんど流通せず、その代用品としてぶなしめじが使われることが一般的です。ぶなしめじは、炒め物や天ぷら、煮物など多様な調理法に適しており、味噌汁、炊き込みご飯、パスタ、シチューなど幅広い料理に利用されています。旨味成分であるグアニル酸を多く含むため、加熱することでより強い風味が引き出されるのも特徴です。

保存方法としては、石づきを取り除いた後に密閉袋に入れて冷凍保存することが可能で、冷凍することで細胞壁が壊れ、調理時に味がしみ込みやすくなります。風味や食感を保つためにも、冷凍後は1ヶ月程度を目安に使い切ることが推奨されています。