若鮎 (若あゆ/わかあゆ/鮎焼き)

若鮎は、カステラ生地のような皮で柔らかい求肥を包んだ和菓子で、鮎焼きや焼鮎とも呼ばれています。名前のとおり鮎の形に作られるのが特徴で、初夏から夏にかけて多く見られる季節菓子です。本来は鮎漁が解禁される時期に合わせて販売されていましたが、現在では初夏よりも早い段階から店頭に並ぶようになり、夏を代表する風物詩として親しまれています。
生地には小麦粉や砂糖、卵などが使われ、ふんわりとした口当たりが特徴です。焼き上げる際には、鮎の目やヒレを表現するために焼きゴテが使われますが、家庭で作る場合は金属製の串を熱して代用することも可能です。また、フライパンでも作れますが、温度を一定に保ちやすいホットプレートを使うとより安定して仕上げられます。
地域や店舗によっても工夫が見られ、皮の焼き加減や鮎の形の細やかさで職人の技術が表れます。パッケージや掛け紙には涼しげな意匠が用いられることが多く、贈答用や土産菓子としても人気があります。

中身は地域によって違いがあり、関東では求肥に加えてこし餡や白餡を入れたものも見られ、より甘みや食感のバリエーションを楽しむことができます。一方、関西ではシンプルに求肥だけを包む場合が多く、あっさりとした味わいが好まれています。このように、同じ若鮎でも地域ごとに特徴があり、食べ比べる楽しみもあります。
また、夏祭りや茶会など季節の行事に合わせて供されることもあり、見た目の愛らしさから子どもから大人まで幅広く親しまれている伝統的な和菓子です。