クーブイリチー (昆布イリチー/豚肉と昆布の炒め物)

クーブイリチーは、沖縄の伝統的な家庭料理で、「クーブ」は沖縄方言で昆布、「イリチー」は炒め煮を意味します。その名の通り昆布を用いた炒め煮で、琉球王朝時代から宮廷料理として食されてきた歴史を持ち、現在も家庭料理や行事食として広く親しまれています。

豚肉やラードを使うことが多いため脂質が比較的高く、カロリーはやや高めの料理です。基本の作り方は、水で戻した昆布を細切りにし、豚肉やニンジン、かまぼこなどと一緒に炒め煮にして調味料で味を整えます。炒める際にはラードを使うのが伝統的ですが、家庭によってはサラダ油を使用することもあります。昆布の旨味と豚肉のコクが合わさり、深みのある味わいに仕上がるのが特徴です。

昆布をやわらかく仕上げるコツとして、刻んだ後に10分程度水に浸けてから調理すると食感がよくなります。さらに下茹でしてから使うと、より口当たりが柔らかくなり、煮汁も澄んだ仕上がりになります。地域や家庭によっては、干し椎茸やこんにゃく、油揚げを加えて煮ることで、旨味や食感のバリエーションを広げることもあります。

行事や祝い事の席で振る舞われることも多く、沖縄の食文化を象徴する料理の一つです。昆布には炭水化物、食物繊維、ミネラル類が含まれており、豚肉やかまぼこと合わせることで三大栄養素をバランスよく摂ることができます。さらに、具材や味付けの調整により、家庭ごとに独自の風味や食感を楽しむことも可能です。

地域や家庭ごとに具材や味付けに違いがあり、シンプルに昆布と豚肉だけで仕上げるものから、野菜や加工品を加えた具だくさんのものまで幅広いバリエーションがあります。クーブイリチーは沖縄の人々にとって、日常食でありながらも特別な意味を持つ伝統料理として、今も大切に受け継がれています。