アランチーニ (ライスコロッケ)

アランチーニは、イタリア発祥のライスコロッケであり、外はカリッと香ばしく、中はチーズや具材の旨味が詰まった食べごたえのある料理です。高カロリーな一面もありますが、ボリュームがあり食事として満足感を得やすいことから、シチリアやナポリをはじめイタリア全土で広く親しまれています。なお、ローマでは同様の料理を「スップリ」と呼び、名称や調理法に違いが見られる点も興味深い特徴です。

アランチーニの基本的な作り方は、米を炊いてリゾット状に仕上げ、冷ましたものをベースに成形することから始まります。一般的なレシピでは中心にチーズを包み込み、俵型や球状に形を整えたうえで、溶き卵とパン粉をまぶして揚げます。この製法は日本のポテトコロッケやクリームコロッケの調理工程と共通する部分が多く、調理経験がある人にとっては馴染みやすい手順です。また、米そのものの風味を活かすシンプルな味付けから、ラグーソースやグリンピースを加えたものまで、アレンジの幅が広いのも魅力です。

地域ごとの違いも大きな特徴で、シチリアのアランチーニではモッツァレラチーズを包むことが多く、ナポリではパルミジャーノチーズを用いるレシピが見られます。ローマのスップリではトマトソースを絡めたリゾットを使うなど、地方ごとに食文化が反映されています。さらに、揚げた後のアランチーニは冷凍保存が可能で、家庭でも作り置きしておけば食卓に出す際に再加熱するだけで楽しめます。具材や調味の組み合わせによって異なる味わいを楽しめるため、イタリアの食文化を象徴する料理のひとつとして根強い人気を持っています。